そのあたりは、ポロックの伝記としては物足りない感もあるが、全体に時代背景やファッション、音楽も入念にシックにそえられて、相当にシリアスな映画に仕上がっている。美術ファンならば、特訓をかさねたというドリッピングによる制作シーンをはじめ、ペギー・グッゲンハイム伝説の「今日の世紀画廊」の再現、デ・クーニング、フランツ・クラインなど若き日の抽象表現主義の巨匠たちにH・ローゼンバーグやグリーンバーグといった名だたる美術評論家を交えたホーム・パーティの激論、ポロックとアクション・ペインティングのイメージを鮮烈に伝えたハイネ・エイムスのフィルムの撮影シーンなど、見どころは多くある。全編に流れるベニー・グッドマンやキング・シスターズのスイング・ジャズとブルース、ラストのトム・ウェイツ《The
world keeps turning》も胸に迫る。