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色<植本誠一郎>


絵具における色名の由来

<ブルー>

使用顔料組成からのもの

Cobalt Blue コバルト ブルー
Cobalt Blue Pale コバルト ブルー ペール
Cobalt Blue Deep コバルト ブルー デイ−プ
Cobalt Blue Hue コバルト ブルー ヒュー

色名は明らかに顔料の組成であるアルミン酸コバルトのコバルト金属からきています。
コバルトとは、以前にも解説したように「地中に住む妖精の悪戯」の意味であり、そこには「恐ろしい者」の意味が込められています。さて、コバルトブルーは東洋の群青と並ぶ重要な青ですが、群青は天然物でコバルトブルーは合成物であります。この合成顔料コバルトブルーはコバルト金属故に高価な物であります。低価格品を志向しようとすればどうしても別顔料でコバルトブルーの色を出さざるをえません。その場合、顔料は別種だと云う意味でヒュー(色相、色合い)の名称を与えるのです。ちなみにヒュー色は耐光性の低い絵具だと思っている人も多いようですが、耐光性表記を確認して下さい。*印が3つも付いていて堅牢であることが良く分かります。
ぺール、デイ―プは色の濃淡でぺールは浅い、デイ―プは深いと云う意味であります。
Manganese Blue Nova マンガニーズ ブルー ノーバ
この色名は本来の顔料「マンガン酸―硫酸バリウム」からきています。マンガニーズの由来はグリーンの項で書いたようにラテン語のMagnes(磁石)から来ていることは確かですが、もう少し細かく見てみると以下のようです。
鉄を吸引する鉱石(磁石)にギリシャの思想家タレスは、この鉱石を入手した小アジアの都市MagnesiaからMagnesと云う名前をつけた。ところで磁石以外の黒い鉱石をも誤ってMagnesとしたのはギリシャの博物学者・プリニウスであったが、中世にプリニウスの写本が作られた時更に間違えてManganeseとしてしまった。18世紀スェーデンのJ・G・ガーンが黒い鉱石からある種の金属を発見したときに、この金属にマンガニーズの名称を付けたのである。
Novaノーバとは新しい星の意味ですが、ここから「新しい」という意味に用いられています。この事からこの絵具は本来の「マンガン酸―硫酸バリウム」ではないことが分かります。

本来の出自を明らかにするもの

Ultramarin Blue ウルトラマリン ブルー
Ultramarin Light ウルトラマリン ライト
Ultramarin Deep ウルトラマリン デイ―プ

ウルトラマリンの語そのものの意味は「海を越えて」ということです。本来の原料はアフガニスタンで採掘される「ラピスラズリ 瑠璃石」であります。これをシルクロードの隊商に乗せイタリア・ベネチアに運び顔料にしましたから、前記の意味があります。
現代の絵具にはラピスラズリは使われません。と云うより使えません。余りにも高価な顔料になるからです。その代わりに19世紀にJ・B・ギメやクリスチャン・グメリン、F・A・ケティヒが開発した人工ウルトラマリンが使われています。彼らが開発した顔料はラピスラズリと組成が同じですからウルトラマリンの名が与えられたのです。


ラピスラズリ(瑠璃石)


Verditer Blue バヂター ブルー
バヂターブルーとは本来アズライト(藍銅鉱)すなわち岩群青のことなのですが、今日、人造の塩基性炭酸銅にもこの名が冠せられる事があります。現在、販売されているものは別種の顔料調色品です。


アズライト(藍銅鉱)


Prussian Blue プルシャン ブルー
18世紀プロシャのベルリンにおいてディ―スバッハとディッぺルが偶然に作り出した
青い顔料です。作られた国の名前が顔料名になったのです。この顔料の別名ベルリンブルー、パリブルーも作られた町の名前が顔料名になっています。浮世絵の世界ではベルリンの藍色と云うことでベロ藍と呼んでいます。
Indigo インジゴ
インド原産のキアイ(IndigotinCtoria)から採取した藍であったのでこのように呼ばれています。現在では別の顔料で色が作られています。
Compose Blue コンポーズ ブルー
コンポーズとは構成するの意味ですから、数種類の顔料を組み合せた色と云うことです。内容が色名になっている代表的なものです。

似たものの名称を被せたもの

Hydrengea Blue ハイドレンジャ ブルー
イメージ色でもありますが、紫陽花の花の色に似せた色であります。
Cerulean Blue セルリアン ブルー
Cerulean Blue Red Shade セルリアン ブルー レッド シェード
Cerulean Blue Hue セルリアン ブルー ヒュー

名称の語源はラテン語でCaeruleus(青い)からきています。そして現在では、空色と云う意味になっています。レッドシェードは赤みの、ヒューは代替顔料品を表しています。
Turquoise Blue ターコイズ ブルー
Cobalt Turquoise コバルト ターコイズ

これらの色は青い宝石トルコ石の色に由来しています。トルコ石色と云うことですが、中でもコバルト顔料で青みを出したものにコバルトターコイズの名が与えられます。

印象的な要素で付けたもの

Navy Blue ネイビー ブルー
ネイビーとは海軍ですから、海軍の青い色と云うことですが、正式には英国海軍の制服の色の事です。
Oriental Blue オリエンタル ブルー
読んだままの東洋の青すなわち岩群青の色のイメージであります。
Horizon Blue ホリゾン ブルー
ホリゾンとは水平線の意味ですから、空と海の接するところの空の色です。
Misty Blue
神秘的な青と云ったような意味でイメージ色の最たるものです。

次回は<バイオレット><ブラウン&ブラック>の予定です。

 
(2005/08/31 update)
 
         
 
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