水彩絵の具における色名の由来
本屋で最近目につくものとして、水彩の技法書があります。
生活の進歩とともに絵を描くことへの関心の高まりは、水彩画への興味をいやがうえにも高めているようです。このことに連動して本屋さんにおける水彩画の指南書は豊富なバリエーションとともにお客様の関心を買っているようであります。
初心者が購入する絵の具は通常12色セットであり、種類は透明水彩絵の具が圧倒的な地位を占めています。通常、水彩絵の具と呼ばれるものは、透明水彩絵の具を指しての言葉ですが、ここでは不透明水彩絵の具をも包含して解説してみましょう。
水彩絵の具は現在、チューブ入りが主流ですが、名前の解説にあたってはもともとの形であった固形の絵の具も解説をしておきます。
色名については油絵の具の項とかなり重複しますので簡単な解説に留め置き、これはと思う色について少し解説を加えたいと思います。
<赤>
Permanent Alizarin Crimson
パーマネント アリザリン クリムソン
透明水彩→チューブ
アリザリン色素のクリムソン(貝殻虫から採った色)の色をした永久不変色。
Alizarin Crimson アリザリン クリムソン
ガッシュ→チューブ
上記同様、アリザリン色素のクリムソン色。
Crimson Lake クリムソン レーキ
透明水彩→チューブ
昔、貝殻虫から得られる染料を体質顔料に染めつけた色。
Crimson クリムソン
透明水彩・ガッシュ→ケーキカラー
上記同様、昔、貝殻虫より得られた紅色。語源は昆虫のアラブ語キルミツ。
Carmine カーマイン
透明水彩・ガッシュ→チュ−ブ、ケーキカラー
ポスターカラー→チューブ
クリムソンレーキに同じ。
Rose Madder ローズ マダ−
透明水彩→チューブ
茜の根から採ったバラ色。
Brown Madder ブラウン マダ−
透明水彩→チューブ
マダ−の染料に鉄をくっ付けて茶色の発色をする色の意味です。現在は名前のみが残っています。
Cadmium Red カドミウム レッド
ガッシュ→チューブ
金属のカドミウム化合物の赤。
Cadmium Red Light カドミウム レッド ライト
透明水彩・ガッシュ→チューブ
明るいカドミウム化合物の赤。
Cadmium Red Deep カドミウム レッド ディ−プ
透明水彩・ガッシュ→チューブ
深い色合いのカドミウムレッド。
Cadmium Red Orange カドミウム レッド オレンジ
透明水彩→チューブ
橙色のカドミウムレッド
Cadmium Red Purpule カドミウム レッド パープル
透明水彩・ガッシュ→チューブ
赤紫色のカドミウムレッド。
Varmilion バーミリオン
透明水彩→チューブ、ケーキカラー
ガッシュ→ケーキカラー
ポスターカラー→チューブ
朱色の意味ですが、もともとは合成朱の色が臙脂虫の色に似ているので、
合成朱に虫、すなわちラテン語のVermiclumを当てたのです。
絵の具にはカドミウム顔料が使われます。
Vermilion Hue バーミリオン ヒュ−
透明水彩→チュ−ブ
バーミリオン由来は上記だが、ヒュ−は「〜色」の意味で本来の組成ではないが、
その色相を表しているのです。
Scarlet Lake スカーレット レーキ
透明水彩→チューブ
この色名は緋色(ペルシャ語のサカラート)に由来します。レーキですから染料を体質顔料
に染めつけた顔料を使っていることを表しています。
Permanent Rose パーマネント ローズ
透明水彩→チューブ
丈夫なバラ色の意味です。
Permanent Red パーマネント レッド
透明水彩→チューブ
丈夫な赤の色の意味です。
Cerry Red チェリーレッド
透明水彩→チューブ
桜の花の色であります。
Shell Pink シェルピンク
透明水彩→チュ−ブ
桜貝の色を表しています。
Flame Red フレーム レッド
ガッシュ→チューブ
意味は炎の色です。
Pure Red ピュア レッド
ガッシュ→チューブ
純粋な赤の意味です。
Brilliant Pink ブリリアント ピンク
透明水彩・ガッシュ→チューブ
輝くピンク色ですから「明るいピンク色」と云った程度の意味です。
Geranium ゼラニウム
ガッシュ→チュ−ブ
ゼラニウム(天竺葵)の花の色です。
Opera オペラ
透明水彩・ガッシュ・ポスターカラー→チュ−ブ
水彩絵の具の色名で最も困難を極めるのが「オペラ」であります。
先輩諸氏から教えてもらったのは「歌劇のように華やかだから」と云う定説があるのだが、正直言って判然としないのです。本当にそうなのかと追求の手を出すと必ず霧に包まれた部分が出てきていきづまります。曰く、「本来はポスターカラーの色名だ」あるいは「海外の色名にあったように思う」などです。このように「色名」の中には本来根拠がわからなくなっているものがあるのです。ことに「イメージ」で付けられたものに多く見られます。
勿論、根拠不明であっても使用上はなんの不便もありません。何故なら、名称で絵の具を使っている訳ではなく、あくまでも「色相」だからです。
次回は<黄色>です。
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