《遠浅の水辺 0702》 2007年
9:30〜17:00(入館は16:30まで)
宇都宮市生まれの薄井隆夫は筑波大学大学院を修了後、宇都宮にて作家活動を展開している作家です。90年代後半以降、彼の作風は幾何学的な構成の初期作品から、純粋な色と形による空間形成へと展開していきます。そのベースには、絵画の制作上最も重要な要素と考えられてきた遠近法と陰影表現に対する新たな表現の模索という思想が流れています。 アーチ型の形の連続が、背景の色によって侵食されていくような作品は、明暗の色彩の対比による空間の構成を試みた作品です。その後、より視覚的な効果を狙った表現へと発展します。 明度の高い黄色と黄緑色のみを使い、見るものにまぶしさに焦点が合わないような感覚を起こさせる一連の作品は、色そのものが持つハレーションの効果を発揮し、色彩のみによる空間の深さをみごとに作り上げました。 また、エスペール賞受賞後の「遠浅の水辺」の一連の作品では、俯瞰する視点と雲形の漂う形象の効果により、あたかも光が透き通る遠浅の海辺のような抽象的造形を表現しました。さらに鮮やかな青色で描かれた線によって、本来描かれていない水面を意識させることによって、水中と水面とさらのその上の空気の三重の空間を作り出すことに成功しています。 しかし、薄井の魅力はそれだけではありません。色彩の美しさと繊細な情感あふれる画面、そして詩的な作品タイトルなど、そこには静かで香り高い世界が展開されています。 今後の活動が期待される薄井作品を、ごゆっくりご堪能下さい。
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